1)13.56MHz帯:2019年度以上にQ値の改善に取り組んだ。しかしながら、導入効率の改善には至らなかった。 2)これらの結果を受け、遺伝子導入技術の応用の1つとして、魚卵への蛍光分子導入を行った。これまでに、沿面放電を利用してスマ魚卵及び稚魚への蛍光分子導入が確認されているが、メダカでは卵殻が硬いためか、魚体への蛍光分子導入は確認されていない。2019年度に沿面放電ではなく水中プラズマを用いてメダカ魚卵へプラズマの照射を行い、蛍光分子の導入を目指した。この時には、用いた水中プラズマは、電極上の発生させるタイプではなく、電極間に絶縁板を配し、その絶縁板に貫通孔を設けることで、貫通孔の部位にプラズマを発生させタイプであった。1例の蛍光分子導入が確認され、今後の可能性を感じさせる結果を示唆していた。ただし、魚卵の場所固定が困難であったため、実験の効率が悪いという欠点があった。そこで、2020年度は電極上の発生させる水中プラズマを利用し、実験の効率化を目指した。 3)まず、プラズマを断続的に発生させる(Dutyを低くする)ことで、魚卵へのダメージが低下し、蛍光分子の導入が期待できるよう、水中プラズマの断続的な運転(これまでに我々の研究室では経験がない)が可能な装置を試作した。この結果、安定したプラズマ発生を得た。これを受け、メダカ魚卵へのプラズマ照射を行ったが、2020年度時点で蛍光分子導入は確認されていない。 4)2020年度は魚卵下部に電極を配し、プラズマが直撃する形状だった(魚卵へのダメージが大きい)。そこで、魚卵下部に鉛直方向の小孔を設け、魚卵から数mm下部に水平方向にプラズマを発生させる装置を開発し、プラズマ発生を安定化させた後、蛍光分子導入を試みた。この結果、数例の魚体への蛍光分子導入が確認され、水中プラズマ利用の可能性を確立することができたと考えている。
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