研究課題/領域番号 |
17K05732
|
研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
菊池 祐介 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (00433326)
|
研究分担者 |
伊庭野 健造 大阪大学, 工学研究科, 助教 (80647470)
永田 正義 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (00192237)
福本 直之 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (90275305)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 重相構造プラズマ / 蒸気遮蔽 / ELM / ダイバータ |
研究実績の概要 |
平成29年度は定常プラズマ照射装置の構築を行った。真空容器内に平行平板電極(ステンレス製,上部電極直径50 mm,下部電極直径70 mm)を有する装置を用いて,準大気圧水素プラズマ生成を行った。真空容器はロータリーポンプで排気された後,水素を流量5 L/minで導入しながら,所定のガス圧力(0.1-2 kPa)に保持した。従来の定常プラズマ装置では外部磁場を印加する等により高密度プラズマを得ていたが,ここでは高い中性ガス圧力下で試料近傍にのみ高密度プラズマを生成することを目指した。そこで,電極間に周波数30 kHzの繰り返しパルス電圧を印加し,パルスグロー放電プラズマを生成した。電極間に安定して水素プラズマを生成することができた。 磁化プラズマガン装置により生成したELM様パルスプラズマをアルミニウム被膜付きタングステン試料に照射したときの蒸気層形成と熱緩衝効果の実験結果をPICシミュレーションと比較した。その結果,アルミニウム蒸気層によってプラズマ熱エネルギーが散逸される効果がシミュレーションによって再現され,特にイオンと中性粒子の衝突が散逸過程に重要であることが明らかとなった。また,実機条件においてもシミュレーションが行われ,同様に蒸気遮蔽効果が確認された。ITERダイバータではWダイバータ板上に第一壁から放出されたベリリウム(Be)が堆積することが予測されており,Be堆積層によりBe蒸気層の形成と熱緩和効果が発生する可能性が示唆された。これらの成果はITPA meeting(ヨーク)で発表されるとともに,Contributions to Plasma Physics誌に学術論文としてまとめられた。また,重相構造プラズマの形成がもたらすベーパーシールディング効果に関する解説論文がプラズマ・核融合学会誌に掲載された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験に使用するプラズマ源として,準大気圧パルス水素グロー放電生成に成功した。一方,高熱流プラズマ源としては,準大気圧アーク放電装置を今後活用していく予定である。材料表面の高速温度計測はこれまでに高速パイロメータを開発しておりそれを活用する予定である。また,材料表面の溶融ならびに蒸気層形成については高熱流プラズマ装置の開発後に実施予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
高熱流プラズマ源としてグロー放電ではなくアーク放電装置を用いた実験を進める。アーク放電を用いることでタングステンの溶融条件まで材料表面温度を上昇させ,材料表面に形成される溶融層および蒸気層による熱緩和現象を調査していく。これらの実験結果とPICシミュレーションの比較検証を実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
プラズマ照射試料ホルダーの製作を平成30年度に実施することにしたため、次年度使用額とした。
|