基本的な錯体であるトリス(ビピリジン)鉄(Ⅱ)錯体の励起状態を高速計算できるモデル電子ハミルトニアンを開発し、分子動力学シミュレーションに適用できる励起状態計算の一つの方法として発展させた。このモデルハミルトニアンを用いた非断熱分子動力学計算を通じて、トリス(ビピリジン)鉄(Ⅱ)錯体の励起状態で起こる超高速の緩和ダイナミクスの詳細を調べた。その結果、実験・計算の両面から緩和ダイナミクスの詳細に関する議論が続いているトリス(ビピリジン)鉄(Ⅱ)錯体の光励起後の緩和経路に関する新たな知見を示すことができた。
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