研究実績の概要 |
本研究では、『アズレンが縮環した多環式芳香族化合物の新たな合成法の開発』、『分光学的性質や電気化学的性質の解明』を行うことで、π共役系の拡張に基づく長波長領域での吸収を示す機能性色素の開発を目的としている。 平成29年度は、『アズレンが縮環した多環式芳香族化合物の新たな合成法の開発』の検討から研究を開始した。前駆体となる1,2-ホルミルアズレン誘導体の合成はこれまでに報告例があるものの収率の点で問題があったため、新規な1,2-ホルミルアズレン誘導体の合成法の開発から検討を行った。その結果、入手が比較的容易な2-メチルアズレン類を出発物質として3段階で1,2-ホルミルアズレン誘導体を合成できる新たな手法を開発した。この研究結果は、European Journal of Organic Chemistry誌(Eur. J. Org. Chem. 2018, 1145-1157 )にVery Important Paperとして掲載された。本手法で得られた1,2-ホルミルアズレン誘導体に対してホスフィン触媒存在下で、窒素上に様々な置換基を有するマレイミド類との縮合反応を行うと中~高収率でアズレン縮環フタルイミド誘導体を合成することができた。これらアズレン縮環フタルイミド誘導体の分光学的ならびに電気化学的特性についても検討を行った。これらの研究結果について現在、論文投稿の準備をしている段階である。
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