本研究では電荷をもつ開殻π電子系分子(ラジカルイオン)の集積状態における新しい機能を創発することを目的とした。ラジカルイオン間における特異な相互作用を利用して、新しいスイッチング機構をもつラジカルカチオン塩の創製に成功した。具体的な例として、緑色結晶であるN-ペンチルラジカルカチオン塩が加熱に伴い橙色液体に分解せず変化した後、冷却することで橙色固体に、さらなる冷却により緑色固体へ変化した。橙色固体から緑色固体への変化は力学的刺激でも起こった。この色変化の間に磁気的性質も大きく変化することがわかった。
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