溶媒の極性効果と立体効果をパラメータ化した新しい溶媒効果計算プログラムを作成し,その有効性の検証を行った。溶媒種の違いが反応選択性に大きく影響する例として,ピロール類の位置選択的トリシアノビニル化反応およびα位に不斉中心を有するケトンのジアステレオ選択的ヒドリド還元を取り上げ,実験および分子軌道計算の両面から解析を行なったところ,いずれの反応でも溶媒種の違いによって選択性の反転や反応速度の顕著な変化が観測された。これらの反応について本研究で作成した溶媒効果計算プログラムを適応した結果,基質や試薬と相互作用した溶媒分子の立体効果が反応性や選択性に影響を与えている可能性が高いことが明らかとなった。
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