d電子の存在にともない多彩な結合活性化をもたらす遷移金属錯体触媒に対して、s, p軌道のみが関与する典型元素ルイス酸触媒は、一見その機能が限られているようにみえるが、嵩高いルイス酸・ルイス塩基対や、複合酸触媒といった新しいコンセプトが最近でも次々と提案されているように、今なお注目すべき触媒であり、さらなるブレークスルーを生み出すためには、実験化学的・理論化学的両面から多様なルイス酸について精密な検討を施していく必要がある。本研究は、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを中心としたルイス酸に関する理解を深める意義を有する。
|