ヒドリド(水素化物イオン)部位を含む金属錯体は,様々な化学プロセスにおいて重要な役割を担う。しかしながら,従来のヒドリド錯体の合成には水素ガスのようなヒドリド源が用いられていたため,安全性や環境への負荷といった問題を抱えている。本研究では,水素ガスに代わる再生可能な水素供与体を開発するため,バイオプロセスで得られる水素源を用いた金属ヒドリドまたは有機ヒドリド部位を含むルテニウム錯体の選択的合成に成功した。さらに,合成した3種類のヒドリド錯体を用いて基質への水素供与能を調査した結果,有機ヒドリドの方が優れていることを確認した。
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