複数の安定状態を持つ双安定性金属錯体は、配位子の修飾や分子集合構造の制御によって、多彩な電子状態を精密に設計することができる。本研究では、プロトン応答性を双安定性金属錯体に導入し、電場による磁性変換や磁場による誘電性の制御を分子レベルでの精密設計によって達成することを目的として研究を進めた。異なるpKaの解離性プロトンを2つもつ非対称な平面性3座配位子をもちいて室温付近で急峻なスピンクロスオーバー現象をしめす鉄(II)単核錯体を合成した。合成条件を変えることで、プロトン化状態や電子状態の異なる鉄錯体を全部で5種類単離に成功し、構造・磁性・電子状態を明らかにした。
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