研究課題/領域番号 |
17K05807
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
横山 明彦 金沢大学, 物質化学系, 教授 (80230655)
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研究分担者 |
鷲山 幸信 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (80313675)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アスタチン / ラドン / ジェネレータ / 溶媒抽出 / NBS / NCS |
研究実績の概要 |
今年度は加速器のトラブルのため、予定していた日本原子力研究開発機構のタンデムバンデグラフ加速器での実験はLiイオン照射が一度しかできず、主にAt-211をα照射によって製造して、アスタチン抽出法についての研究を行った。 使用する酸化剤の種類(NCS,NBS,NIS)を変えて効果の差を確認し、また酸化剤を溶解してから使用するまでの時間変化の影響を調べ、従来の知見と異なり、これまで最適と考えてきたNBSに対して効果が劣るとされてきたNCSは、抽出に対する効果は変わらず、時間経過による失活に注意する必要があることが判明した。また今回初めて導入したクラウンエーテルを混入させたイオン液体の系は、アスタチン抽出に有効であることがこの一連の実験で成果として得られた。 Rn-Atジェネレータの実験は一度しかできなかったが、この実験でターゲットから取り出したラドンガスをシリンジの中に分離して保持できることがわかり、これによってジェネレータ設計についての大きなヒントを得ることができた。 またラドンの化学的取り扱いの実験の一環として別に実施している、天然のラドンガスを用いた溶解実験では、水のクラスターとの相互作用の理論計算と比較して溶解状態についての知見を得られた。 上記の成果は2017年度日本放射化学会・放射化学討論会において発表し、また国際学会である10th International Symposium on Targeted Alpha Therapy (2017年石川県金沢開催)および6th Asia-Pacific Symposium on Radiochemistry (韓国済州島開催)でも発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アスタチン抽出に関する実験については予定より進んだ部分もあるが、一番重要なラドンーアスタチンジェネレータの設計及びテスト実験があまり進まなった。これは製造に必要な加速器の不調の影響が大きかった。平成29年度末には復活したので、平成30年度以降は実験を多くできると思う。
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今後の研究の推進方策 |
今後はラドン―アスタチンジェネレータの設計とその実施による改良のフィードバックが進むようにやっていく。そのためには加速器の使用が不可欠であるが、来年度以降も依然として日本原子力研究機構との共同研究関係も維持できており、マシンタイム自体は確保されている。加速器の調子も改善されてきたので研究の進展が期待できる。また、このテーマを課題とする学生も増えて、来年度から3名となって推進できる状況が整った。なお今年度共同研究者の鷲山が金沢大学から福島県立医大に移ったが、共同研究関係は維持できており、問題はない。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費と謝金の合計が予想より少なかったことで差額を生じたと思われる。差額は小さいので今年度の実験で消費する予定である。
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