今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り新規PN系多座配位子を用いた複核・多核錯体合成を継続して行う。 これまでの研究背景を基にホスフィン系多座配位子に支持された金属間に供与結合を有するPincer型複核錯体を目標に合成する。この複核錯体には以下のような特徴が挙げられる。 多座配位子により支持された金属間供与結合を有するPincer型複核錯体の特徴 1.ホスフィン系多座配位子が2つの金属イオンの配位サイトを効果的に抑え,反応場をM2イオンにのみ選択的に形成することによる複核錯体の熱的安定性の向上 2.側鎖のX1(NまたはP)原子とP原子をメチレン鎖で架橋することにより単核錯体の生成を抑制し,2つの金属イオンを結合性相互作用の起こる3Å以内の距離に配置できる供与結合の形成促進効果 3. M1→M2σ供与結合を介して電子を反応サイトのM2イオンへ伝達することによる逆供与結合の促進に伴う基質の活性化 4.置換基Rの変更による立体的,電子的な精密制御による金属間供与結合および反応性のチューニング作用 金属イオンには平面型四角形の幾何構造を形成しやすい後周期遷移金属Pd, Pt, Rh, Irを中心に錯体合成を行う。
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