研究課題
基底項スピン量子数がS=0の亜鉛錯体の結晶構造を明らかにし、同類のコバルト錯体と同型であることを確認し、コバルト単分子磁石化合物の磁気希釈効果研究への足がかりとした。S=1/2のバナジウムの系ではジメチルスルホキシド化合物の磁気的性質を調べ、軸歪みに加えスピンー軌道相互作用の効果が働いていることを観測した。銅の系では没食子酸類縁カルボン酸を用いて新規二核銅錯体の合成を行い酢酸銅型の二核構造であることをX線結晶構造解析により明らかにした。S=1のニッケル錯体では非シッフ塩基型の4座配位子を用いて新規ニッケル錯体を合成し、X線結晶解析により車輪型の7核構造を取っており、極低温で強磁性体転移を伴った単分子磁石的挙動を示すことを見出した。S = 3/2スピン系では二核ルテニウムとパラジウム混合金属系の空孔構造に着目して、アルキル基のかさ高さを変化させた3種類のカルボン酸架橋二核ルテニウムにパラジウム塩を反応させて新規混合金属錯体を合成し、磁気的性質と窒素分子吸着能を調べた。いずれも磁気的相互作用は弱く、結晶内の隙間はそれ程大きくなく、II型の窒素吸着能であった。二核ルテニウムとタングステン酸塩との反応から合成した新規混合金属錯体ではフェリ磁性的性質が見出されたが、磁気転移温度は5.5 Kであり、これまで見出したものよりやや低温度となった。結晶構造を調べると基本的には一次元鎖状構造であることが判明し、これがさらに分子間の水素結合によって二次元シート構造を形成していることを見出した。これは磁気転移温度との相関を示すものとして注目に値する。S=5/2の系については新規2核マンガン錯体を合成し、これまで見出されていない新しい架橋様式を見出した。三座のシッフ塩基配位子の鉄錯体では高スピンS=5/2と低スピンS=1/2が共存した状態を経るユニークなスピン平行化合物を見出した。
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