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2018 年度 実施状況報告書

ビスマス含有発光性イリジウム錯体の重原子相互作用研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K05821
研究機関福岡大学

研究代表者

古賀 裕二  福岡大学, 理学部, 助教 (60373148)

研究分担者 松原 公紀  福岡大学, 理学部, 教授 (00294984)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードイリジウム / ビスマス / 発光 / 重原子効果
研究実績の概要

本研究では「ビスマス含有発光性イリジウム錯体の重原子相互作用研究」としてビスマスを含有するイリジウム錯体を合成し、その発光効率や発光波長変化からビスマス導入の効果を明らかにすることを目的として研究を推進している。当該年度は、支持配位子上にビスマスが置換したイリジウム錯体の合成・分析に注力した。前年度にビスマスを含むホスフィン支持配位子の合成法を確立しているが、当年度、その反応の副生成物として新たなホスフィンの単離・構造解析に成功した。この副反応を応用することで、中心イリジウムに直接ビスマスが配位するタイプの配位子の合成が可能となると考えている。また前年度に存在を確認していた、ビスマスを含むホスフィン支持配位子が配位したイリジウム錯体の単離・構造解析に当年度成功した。NMR, ESI-MSだけでなく、単結晶X線構造解析により立体構造も明らかにした。当年度単離に成功した錯体の可視・紫外吸収スペクトル、蛍光スペクトルの測定、絶対量子収率の測定を行った結果、ホスフィン支持配位子上へのビスマスの導入が可視・紫外吸収極大波長や強度、光励起発光極大波長や強度、量子収率にほとんど影響を与えないことを明らかにした。量子化学計算の結果、ビスマスを含むホスフィン配位子上にフロンティア軌道が局在しておらず、このことが発光挙動に影響していない原因と考えている。以上の結果について、日本化学会第99春季年会(2019)にて発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、支持配位子上にビスマスが置換したイリジウム錯体の合成と発光特性の調査を行うことができている。
ホスフィン支持配位子上へのビスマス導入の結果から、次のビスマス導入候補となる支持配位子を導き出している。ビスマスを含むホスフィン支持配位子合成の副反応解析により、中心イリジウムに直接ビスマスが配位するタイプの配位子の合成法を見出すことができている。

今後の研究の推進方策

前年度に引き続き、(1)支持配位子上にビスマスが置換したイリジウム錯体の合成検討と発光特性の調査、(2)シクロメタル化配位子上にビスマスが置換したイリジウム錯体の合成と単離の検討を行い、さらに(3)中心イリジウムに直接ビスマスが配位するタイプの錯体の合成と単離の検討を行う。
(1)では、フロンティア軌道が局在することが既に知られているピリジンタイプの支持配位子上へのビスマス導入の検討を行い、そのイリジウム錯体の合成についても検討する。ピリジンタイプ配位子上へのビスマス導入方法は、ホスフィンへの導入と同様、リチオ化したピリジンとハロゲン化ビスマスを反応させる事により行う。イリジウム錯体の合成は既知の方法である[IrCl(ppy)2]2とピリジンタイプ配位子との反応によって行う。(2)では、塩化水素を生じないとされる前駆錯体Na[Ir(acac)2Cl2]を用いたイリジウム錯体の合成検討、o位水素を予め金属に置換してからトランスメタル化を行うことによるイリジウム錯体の合成検討を行う。それと共に、発光性イリジウム錯体へビスマスを直接導入する方法も試みる。(3)では、前年度に副反応として見出した新たなホスフィン合成法を用い、中心イリジウムに直接ビスマスが配位するタイプの配位子とそのイリジウム錯体の合成を検討する。
(1)から(3)それぞれ、合成・単離したビスマス含有イリジウム錯体の可視・紫外吸収スペクトル、蛍光スペクトル測定、絶対量子収率測定を行う。必要ならば他研究機関に依頼して発光寿命を測定する。連携研究者により量子化学計算を行い、各スペクトルの解析、発光挙動の理論的解析を行う。必要であればビスマスを含まない類縁錯体を合成し、発光特性の比較を行う必要がある。

次年度使用額が生じた理由

ビスマスを含むホスフィン支持配位子及びそのイリジウム錯体の合成法を確立したことによりその派生化合物(比較化合物)の合成が必要になったことに加え、新たなタイプのビスマス含有支持配位子錯体の合成に着手することとなった。これらのタイミングが重なることによってこれまで以上に試薬やシュレンクチューブ等の特殊器具、構造確認のための重水素化溶媒など、高価な消耗品の使用量の増加が予想される。また、厳密な無酸素状態での分光分析の機会が増加する事も予想され、測定用の特殊器具の使用量が増加することも予想される。以上のことから、当初購入予定であった高速液体クロマトグラフの部品(オートサンプラー)の購入を見合わせ、それらに充てることとした。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ビスマス含有ホスフィンを配位子としてもつ発光性ヘテロ二核イリジウム錯体の合成2019

    • 著者名/発表者名
      古賀裕二、高津大貴、松原公紀
    • 学会等名
      日本化学会 第99春季年会(2019)

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公開日: 2019-12-27  

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