研究課題
基盤研究(C)
構造明確な分子性の金属ヒドリド錯体を用いた窒素分子の活性化は、特殊な還元剤・プロトン試薬を必要としない、温和な条件での触媒的アンモニア合成反応の開発につながる重要な研究である。しかしその研究は非常に限られている。本研究では、6族遷移金属であるクロム多核ヒドリド錯体を新たに合成し、それを用いて窒素分子を切断・水素化することに成功した。計算化学により、その詳細な反応メカニズムについても明らかにした。
有機金属化学
構造明確な分子性多金属ヒドリド錯体を用いた窒素分子の活性化は、これまで窒素との親和性が比較的高い4族、5族遷移金属ヒドリド錯体に限られていた。しかし、今回の報告により、初めて6族遷移金属であるクロムヒドリド錯体を用いて窒素分子の活性化に成功した。今後は様々な金属と配位子の組み合わせによる効率的な窒素分子活性化の研究がさらに展開されていくものと期待される。