現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ベシクルをちょうど良い具合にトラップすることに成功できておらず、測定用電気泳動セルの作製がやや遅れている。理由としては、ガラス製にこだわっているからである。ガラス製の長所は各種洗浄液の多くに対して耐性があることである。しかしながら、加工方法が主に高温での軟化によるものであるために、寸法の精度が上がりにくいことや、作製できる形状に制約がある。 装置が完成した後に測定する試料の基礎物性の調査は、順調に進行した。本研究で開発を目指しているのは、ベシクル二分子膜や細胞膜とそれらの周囲にある溶媒間の膜張力を測定する装置であるから、測定対象となる膜については明確な情報が必要である。平成29年度は、リン脂質膜と金属錯体の相互作用を明らかにすることができた。以下の論文として報告した。 (1) Villeneuve M. et al.: Uptake of iron (III)-ethylenediamine- N,N,N',N'-tetraacetic acid complex by phosphatidylcholine lipid film. Part I. Effect of bulk pH, Chemistry and Physics of Lipids, 210: 1-13, 2018. (2) Villeneuve M. et al.: Uptake of iron (III)-ethylenediamine- N,N,N',N'-tetraacetic acid complex by phosphatidylcholine lipid film. Part II. Effect of film curvature, Chemistry and Physics of Lipids, 210: 14-21, 2018.
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