研究課題
表面準弾性光散乱(SQELS)法を採用し、polyethylenglycol monoalkyl ether (CiEj)系列の水/空気に形成される表面吸着膜を実験対象とした。非イオン性界面活性剤の拡張弾性測定結果から、水和圏構造ひずみや水和・脱水和の水の拡散速度が、緩和過程を支配する主要因であると考えた。これらの結果は、Lucassen-van den Tempelモデルでは説明できないので、吸着膜とその直下のサブ吸着領域の交換と吸着・脱着のエネルギー障壁を取り入れた新しい理論モデルを考察して提唱することとした。当初は、イオン性界面活性剤の拡張粘弾性、非イオン界面活性剤の拡張粘弾性の測定・解析・考察の後に、Raversa, F, 2005らによって示唆されている「吸着の拡散律速理論を用いたモデル計算によれば、表面緩和過程に特徴的な周波数で動的表面弾性は変曲点を、同時に動的表面粘性は極大を持つこと」を検証予定であった。しかしながら、イオン性および非イオン性界面活性剤のいずれにおいても、Lucassen-van den Tempelモデルが成立しないことが明らかになったので、この理由を明らかにすることをまず進めることとした。特に、非イオン性では親水基周囲の水和圏のひずみや水和・脱水和が緩和過程の主要因であると考えられるので、polyethylenglycol monoalkyl ether (CiEj)系列以外の非イオン性界面活性剤の拡張粘弾性を測定・解析し、Lucassen-van den Tempelモデルが成立しない理由を明らかにすることとした。結論がでるまでには至っていないが、今後も検討を継続する。
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ADVANCES IN COLLOID AND INTERFACE SCIENCE
巻: 282 ページ: 102206-102213
10.1016/j.cis.2020.102206