研究課題
基盤研究(C)
特定の物質を認識することで蛍光特性が変化する色素、いわゆる、蛍光センサーや蛍光プローブは、環境分析や生体研究におけるバイオイメージングなど幅広い用途がある。本研究では、複数の物質を同時に認識出来る新たな蛍光色素の創成を目的として、励起状態分子内プロトン移動(ESIPT)型色素を対象に開発を行った。その結果、酸化合物の添加に対し、酸だけではなくその共役塩基を選択的に認識し、添加濃度に応じてフルカラー(RGBW)の蛍光を示す色素や、カチオンとアニオンを同時に認識してゲル化する色素の開発に成功した。
有機材料化学
今回開発に成功した蛍光色素が示した、(1)外部からの信号の種類だけでなくその強度までを認識してフルカラーの蛍光応答を示す現象や、(2)複数の特定の信号が同時に入力された時のみゲル化する現象は、共に過去に報告例のない極めてユニークな現象である。これら成果は蛍光色素、とりわけESIPT型蛍光色素の新たな可能性を示したものである。近年蛍光センサーや蛍光プローブの重要性が増す中で、今回の成果はそれら開発研究に重要な知見を提供出来たものと考えている。