研究課題/領域番号 |
17K05851
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
吉川 佳広 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (30373294)
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研究分担者 |
則包 恭央 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究グループ長 (50425740)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 分子リソグラフィー / 走査型トンネル顕微鏡 / 二次元構造 |
研究実績の概要 |
本研究における最終目標は、有機分子を基板上の大面積に無欠陥で集積化する手法を開発し、その規則的な集積化構造を用いてシングルナノスケールの分子リソグラフィー技術を創製することである。従来型のフォトリソグラフィーに代表されるトップダウン手法は、微細加工サイズの縮小化が限界に到達しつつあるため、それを凌駕する微細加工技術の開発が期待されている。本研究では、以下の3項目を達成することにより、分子リソグラフィーによる微細加工技術の創製に貢献する。(1)有機分子の規則的かつ大面積の配置とナノレベルでの解析、(2)外部刺激によって有機分子の一部を脱離・除去して、特定部位を残存させることができる有機分子の設計・合成、(3)厚さ方向に分子を積層集積して、基板の加工に適用可能な分子ナノパターン構造を創製する。以上により、分子リソグラフィーの基盤技術を確立する。 平成30年度は、特に上記(1)および(2)に関する研究に注力した。具体的には、外部刺激によって脱離可能な部位、および金属錯体が形成可能な部位を有する分子を設計・合成した。合成の確認は、核磁気共鳴スペクトル(NMR)および赤外分光光度計(FTIR)によって行った。本分子を溶媒に溶かして紫外線を照射すると、狙い通り分子の一部を脱離できることをNMRで確認した。また、走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いて、本分子が高配向グラファイト上において規則的な二次元構造を形成することを確認した。さらに、金属錯体形成前後において、二次元構造が変化することも見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
外部刺激によって分子の一部を脱離させることができる部位、および金属錯体形成部位を分子内に有する化合物を合成することができた。また、本分子について、高配向グラファイト基板上に形成される二次元構造の解析を進めることができ、当初の計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでは単分子レベルでの解析を行ってきたが、薄膜の作製法の確立とその解析を進める。それと同時に、これまでの各機能性分子部位を集積した分子リソグラフィー用分子の合成も行い、 基板上への集積化と基板加工を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品、人件費および旅費の大半を、所内交付金にてまかなうことができた。 物品費としては、試薬類、基板および走査型プローブ顕微鏡用探針の購入に充当し、その他費用として、機器分析費用として使用する。また、実験補助者を今年度も継続して雇用する費用、成果発信と情報収集のための学会参加・発表を旅費として計画している。
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