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2017 年度 実施状況報告書

ポリケチドの生体模倣合成法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K05854
研究機関東京大学

研究代表者

赤川 賢吾  東京大学, 生産技術研究所, 助教 (60548733)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードポリケチド / 生体模倣合成 / 繰り返し反応 / β-ケトチオエステル / マロン酸ハーフチオエステル
研究実績の概要

ポリケチドは多様な構造と酸化度をもつ化合物群であるが,生体内では画一的な方法によってつくられている。すなわち,ポリケチド合成酵素にチオエステルとして担持された基質に対し,マロニルCoAの脱炭酸を伴うクライゼン縮合による炭素鎖伸長と,生じたβ-ケトチオエステルの官能基変換を繰り返すことで主骨格が合成される。官能基変換には3つの段階があり,どの状態で次の伸長反応に移行するかはつくられる化合物によって異なる。本研究ではこのような仕組みを模倣し,繰り返し反応によってポリケチド化合物を合成する手法の開発を行った。
生体内で行われているようなチオエステル間の選択的なクライゼン縮合反応は困難であったが,カルボン酸に対してマロン酸ハーフチオエステルを用いた脱炭酸を伴う脱水縮合を行うことで同等の伸長反応が可能であることを見出した。得られたβ-ケトチオエステルはβ-ヒドロキシチオエステル・α,β-不飽和チオエステル・飽和チオエステルに段階的に変換することができたが,これは生体内で酵素によって行われている官能基変換そのものである。この変換反応の選択肢を各サイクルに取り入れることで多様な化合物が合成可能になると期待される。β-ケトチオエステルを適切な形へと変換した後に加水分解を行うことでカルボン酸が得られ,伸長反応と官能基変換を繰り返すことができる。本手法を用いてピロン・ラクトン・サリチル酸・オルセリン酸骨格の構築,天然物であるカバイン・ゲルミシジンA・ヤンゴニン・イソサクラネチンの合成を行い,同一の繰り返し反応によって多種類のポリケチド化合物が合成可能であることを示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

繰り返し合成に必要ないくつかの変換反応が行える条件を全て見出し,それらを用いたポリケチド合成に成功したため。

今後の研究の推進方策

ポリケチドの固相合成について検討を行う。固相合成法の確立によって各ステップの精製をろ過のみで行うことができ,ペプチドや核酸の合成のように機器による自動化が期待される。固相上での炭素鎖伸長反応と官能基変換がスムーズに進行する条件,反応の進行をモニターする方法について検討する。その後,固相法によるポリケチド天然物の合成を行い,本法の有用性を示す予定である。また,我々が以前行っていた固相担持ペプチド触媒に関する研究の知見を活かし,ペプチドとポリケチドの分野の融合を図る。まずは二次構造をもとに設計したペプチドに基質を固定してクライゼン縮合反応を行い,選択的な炭素鎖伸長ができないか検討を行う。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Iterative Polyketide Synthesis via a Consecutive Carbonyl-Protecting Strategy2018

    • 著者名/発表者名
      Kengo Akagawa, Kazuaki Kudo
    • 雑誌名

      The Journal of Organic Chemistry

      巻: 83 ページ: 4279-4285

    • DOI

      10.1021/acs.joc8b00497

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Biomimetic iterative method for polyketide synthesis2017

    • 著者名/発表者名
      Kengo Akagawa, Kazuaki Kudo
    • 雑誌名

      Chemical Communications

      巻: 53 ページ: 8645-8648

    • DOI

      10.1039/c7cc04033d

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Development of Selective Peptide Catalysts with Secondary Structural Frameworks2017

    • 著者名/発表者名
      Kengo Akagawa, Kazuaki Kudo
    • 雑誌名

      Accounts of Chemical Research

      巻: 50 ページ: 2429-2439

    • DOI

      10.1021/acs.accounts.7b00211

    • 査読あり
  • [学会発表] 生合成機構を模倣したポリケチドの固相合成法の開発2018

    • 著者名/発表者名
      竹内優太、赤川賢吾、工藤一秋
    • 学会等名
      日本化学会第98春季年会
  • [学会発表] 固相担持ペプチド触媒を用いた面不斉[n]パラシクロファンの速度論的光学分割2018

    • 著者名/発表者名
      樋口淳一、赤川賢吾、工藤一秋
    • 学会等名
      日本化学会第98春季年会
  • [学会発表] Development of Tandem Enantioselective Intramolecular Rauhut Currier Reaction and Aldol Condensation Promoted by Peptide Catalyst2018

    • 著者名/発表者名
      YINGQI Tian, Zhaonan Du, Kengo Akagawa, Kazuaki Kudo
    • 学会等名
      日本化学会第98春季年会
  • [図書] Peptide Applications in Biomedicine, Biotechnology and Bioengineering, chapter 192017

    • 著者名/発表者名
      Edited by Sotirios Koutsopoulos
    • 総ページ数
      52
    • 出版者
      Woodhead Publishing
    • ISBN
      978-0-08-100736-5

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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