研究実績の概要 |
本研究課題は,これまでの研究成果(Rh触媒 (J. Am. Chem. Soc. (2009年),Chem. Eur. J. (2014年),Chem. Eur. J. (2016年)),Y触媒 (Angew. Chem. Int. Ed. (2010年),Chem. Eur. J. (2015年)), Pd触媒 (Angew. Chem. Int. Ed. (2012年),Heterocycles (2015年)), Fe触媒 (Adv. Synth. Catal. (2012年))), および予備的知見をもとに,遷移金属触媒による炭素-水素(C-H)結合の直截的変換反応を開発すること,および得られた生成物を利用して,機能性物質を効率的に合成することを全体の構想とし,鋭意検討した.特に令和元年度は,以下の3項目に関して研究を推進し,それぞれの項目で成果を得ることができた.1) テトラゾール置換フェノールのハロアセチレンへの位置および立体選択的ダブル求核付加と分子内ダブルC-H結合活性化によってテトラゾール環が融着した多環性π共役分子が得られた(Chem. Lett.(2019年)にて報告済み),2)ロジウム触媒と2,2-ジハロビニル基を有するアリールアジドより2,3-ジハロインドールを選択的に合成できた(日本化学会秋季事業第9回化学フェスタにて報告済み).3)ニトロアレーンとグリニャール反応剤からC-H結合活性化を経由する3環性ベンゾイミダゾール合成の検討途上,マンガン塩存在下,ニトロ化合物とグリニャール反応剤または有機亜鉛反応剤からヒドロキシルアミンが選択的に合成できた(日本化学会秋季事業第9回化学フェスタ,日本化学会第100春季年会にて報告済み).
|