本研究の学術的意義は、分子の複雑さや希少性のため活用が困難であった生理活性天然物を、化学合成による量的供給を実現することにある。欧米では、複雑な構造を有する天然物を基盤とする医薬品開発研究がすでに本格化しており、我が国においても新規な医薬シーズを発掘していくためには、分子の複雑さにとらわれない、力量ある分子構築法の確立が重要な課題となっている。本研究によって化学合成による高活性な天然物の実用的合成法を確立することができれば、分子プローブ創成や標的タンパクの同定および活性発現機構の解明が可能となり、さらには生体機能解明や新規な治療薬開発への応用など、様々な分野への波及効果が期待できる。
|