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2017 年度 実施状況報告書

低原子価チタンの発生法を基盤とする精密合成手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K05869
研究機関神奈川大学

研究代表者

岡本 専太郎  神奈川大学, 工学部, 教授 (00201989)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード低原子価チタン / 精密合成反応 / 環化反応
研究実績の概要

二価チタン反応剤Ti(O-i-Pr)4/2i-PrMgClとα,ω―エンインとの反応で発生するチタナシクロペンテン中間体とギ酸エステルやアミドとの反応を検討した結果,ギ酸エチルを用いる反応が効率よく双環化反応が進行したビシクロシクロペンテノール誘導体が生成し,発生する立体異性について高いジアステレオ選択性を示すことを明らかにした。この反応の応用検討を含めた論文発表を現在検討中である。さらに,新しい反応として,分子内・分子間でのアルキンンのビニルチタン化反応およびアレニルチタン化反応およびこれらによる環化反応を見いだした。
一方,新たな低原子価チタン反応剤として,CpTi(O-i-Pr)3,(Indenyl)Ti(O-i-Pr)3, CpTi(OAr)Cl2, Cp*TiCl3をチタン源とし,Mg粉末,Mn粉末,Zn粉末を還元剤として使用する系を検討し,それぞれに特異的な反応性を示すことが明らかになった。CpTiX3化合物が重合反応以外にはほとんど有機合成で利用されて来なかった事を考えると,有用な新規合成手法を提案できるものと考えられる。現時点で明らかになっている事として,(1) これらの低原子価チタン触媒反応系ではアルキンの環化付加三量化反応が進行した。末端アルキンは,Zn, Mg粉末で進行するが,内部アルキンはMg粉末を用いる必要があった。(2) CpTi(O-i-Pr)3およびCpTiCl3を触媒とするスルホンアミドのN-S結合切断反応が進行することが見いだされた。この場合,Mg粉末の使用が必須であることが分かった。これらのいずれの場合もMe3SiClの添加およびTHF溶媒を用いることが効率よい反応には必須である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

二価チタン反応剤Ti(O-i-Pr)4/2i-PrMgClとα,ω―エンインとの双環化反応は期待通り効率よく進行することが明らかとなり,研究は応用利用段階に進んでいる。さらに,新たな形式の環化反応も見いだした。また,平成30年度,平成31年度に計画している新しい低原子価チタン反応剤の発生法開発研究の前段階として,いくつかの反応系で低原子価チタン種の発生と触媒反応への利用が可能であることを明らかにできた。これらの進捗は,全体の研究計画に対しておおむね順調に進んでいると評価した。

今後の研究の推進方策

二価チタン反応剤Ti(O-i-Pr)4/2i-PrMgClを用いる新規な環化反応および双環化反応については,現在知見が得られている反応について,合成利用が可能なレベルに確立し,早期に発表していく。さらに,研究計画に基づき,他の双環化反応のついて可能性の調査を継続する。特に双環性シクロペンタジエン化合物を与える反応の確立を急ぐ。
また,新たな低原子価チタン反応系として見いだしつつあるCpTiX3/還元剤系について,それらの反応性を精査し,新たな触媒反応の開発へ繋げていく。現時点では,還元剤の種類によって発生する活性種が異なり,それによる基質の適用性が異なってくる事が明らかとなりつつある。これらの活性種に特異的な触媒系を開発する事は,CpTiX3化合物が重合反応以外にはほとんど有機合成で利用されて来なかった事を考えると,有用な新規合成手法を提案できるものと考えられる。

次年度使用額が生じた理由

国際学会での発表の予定を次年度以降に見送ったことで旅費の計上分を繰り越した。
また,次年度に当該研究に関わる学生が博士後期課程進学が予定され,RAとして当該研究に従事させることを計画し,その人件費分を繰り越した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Silica-Supported Silver as a Green and Sustainable Catalyst for the [3+2]-Cycloaddition Reaction of Azomethine Ylides with 2'-Hydroxychalcone Derivatives2018

    • 著者名/発表者名
      Suchithra Madhavan, Sentaro Okamoto
    • 雑誌名

      ChemCatChem

      巻: 10 ページ: early view

    • DOI

      10.1002/cctc.201702035

    • 査読あり
  • [学会発表] アルキン[2+2+2]環化付加反応による分岐高分子の合成2017

    • 著者名/発表者名
      1) 進藤卓宏,菊田奈々,岡本専太郎
    • 学会等名
      第7回CSJ化学フェスタ

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公開日: 2018-12-17  

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