研究実績の概要 |
二価チタン反応剤Ti(O-i-Pr)4/2i-PrMgClとα,ω―エンインとの反応で発生するチタナシクロペンテン中間体とギ酸エステルやアミドとの反応を検討した結果,ギ酸エチルを用いる反応が効率よく双環化反応が進行したビシクロシクロペンテノール誘導体が生成し,発生する立体異性について高いジアステレオ選択性を示すことを明らかにした。この反応の応用検討を含めた論文発表を現在検討中である。さらに,新しい反応として,分子内・分子間でのアルキンンのビニルチタン化反応およびアレニルチタン化反応およびこれらによる環化反応を見いだした。 一方,新たな低原子価チタン反応剤として,CpTi(O-i-Pr)3,(Indenyl)Ti(O-i-Pr)3, CpTi(OAr)Cl2, Cp*TiCl3をチタン源とし,Mg粉末,Mn粉末,Zn粉末を還元剤として使用する系を検討し,それぞれに特異的な反応性を示すことが明らかになった。CpTiX3化合物が重合反応以外にはほとんど有機合成で利用されて来なかった事を考えると,有用な新規合成手法を提案できるものと考えられる。現時点で明らかになっている事として,(1) これらの低原子価チタン触媒反応系ではアルキンの環化付加三量化反応が進行した。末端アルキンは,Zn, Mg粉末で進行するが,内部アルキンはMg粉末を用いる必要があった。(2) CpTi(O-i-Pr)3およびCpTiCl3を触媒とするスルホンアミドのN-S結合切断反応が進行することが見いだされた。この場合,Mg粉末の使用が必須であることが分かった。これらのいずれの場合もMe3SiClの添加およびTHF溶媒を用いることが効率よい反応には必須である。
|