研究課題/領域番号 |
17K05880
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
原口 直樹 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30378260)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 有機分子触媒 / キラル高分子 / 高分子微粒子 / ワンポット合成 / サイトアイソレーション / 不斉反応 / 高分子触媒 / フローシステム |
研究実績の概要 |
高分子微粒子固定化型キラル有機分子触媒、架橋高分子固定化型キラル有機分子触媒 、キラル有機分子触媒組込型高分子の系統的合成を行った。 まず、スルホネートモノマー、コモノマー、架橋モノマーの沈殿重合または溶液重合により、スルホネートを有する高分子微粒子または架橋高分子の合成に成功した。沈殿重合には従来のフリーラジカル重合に加え、ATRPを試みたが、単分散微粒子を得ることは困難であり、反応条件などの再検討が必要である。モノマーの種類、高分子構造(微粒子型(コア-シェル型、均一型)、架橋型)、親水性-疎水性バランス(疎水性、親水性、両親媒性)、架橋度やコア部のスルホネート含有量、粒径および粒径分布を変えた、スルホネートを有する高分子微粒子または架橋高分子を合成することに成功した。。 次に、イオン交換反応または中和反応によるキラル有機分子触媒のスルホネートを有する高分子微粒子または架橋高分子への固定化を行い、高分子微粒子固定化型キラル有機分子触媒および架橋高分子固定化型キラル有機分子触媒を合成した。有機分子触媒には、キラルイミダゾリジノン、キラルピロリジン、シンコナアルカロイド誘導体を用いた。イオン交換反応や中和反応による有機分子触媒部位の高分子への導入は定量的であり、高収率で目的とする高分子固定化触媒を得ることに成功した。イオン交換反応や中和反応での導入が困難なキラル有機分子触媒については、それをを有するモノマーや二量体の合成を行い、その重合により、高分子中への導入に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では平成29年度中に4種類の高分子固定化型キラル有機分子触媒の系統的合成を行う予定であり、現在3種類の合成に成功している。平成30年度に行う予定であった不斉反応の一部を平成29年度に既に実施しており、現在までの進捗状況としては、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、高分子固定化型キラル有機分子触媒を用いた触媒的不斉反応を行い、それらの触媒性能の評価を行う。不斉反応における転化率、生成物の収率、立体選択性、触媒の再使用性に関して、高分子固定化型キラル有機分子触媒の特徴を明らかにすると共に、高分子固定化型キラル有機分子触媒の合成条件を再検討し、高性能高分子固定化型キラル有機分子触媒の開発を目指す。さらに、コモノマー構造の設計により、親水性-疎水性バランスを調節した高分子固定化型キラル有機分子触媒を合成し、水系での不斉反応に適用する。 平成31年度は、複数の高分子触媒を用い、サイトアイソレーション的ワンポット合成を行う。各反応における転化率、生成物の収率、立体選択性、サイトアイソレーション効率から各高分子触媒の触媒性能評価を行う。また、自動合成システムやフローシステムに適用可能なワンポット反応合成システムの開発を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験試薬等を効率的に使用したため、若干の次年度使用額が生じた。これらは平成30年度の不斉反応用試薬として有効に使用する。
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