研究課題/領域番号 |
17K05897
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
高橋 透 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (30361166)
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研究分担者 |
壹岐 伸彦 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (50282108)
沖 昌也 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (60420626)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | DNAメチル化 / キャピラリー電気泳動 |
研究実績の概要 |
本研究計画では,DNAメチル化検出のためのA-G変異の識別に特化した核酸の溶液化学特性を利用する等鎖長配列異性体一本鎖DNAのCE分離法システムを構築し,より精密・高感度な分離・検出を達成し,これを基盤としたDNAメチル化検出システムを構築する.今年度はその端緒としてCE分離システムの分離能の向上および迅速化について検討を行った.DNAメチル化には,ゲノム上の当該領域の塩基配列に含まれるすべてのシトシンがメチル化するホモなメチル化と,必ずしも全てのシトシンがメチル化されるわけではないホモなメチル化があり,本研究計画で提案する方法を用いてメチル化検出を行う場合,それぞれのメチル化状態に特化したCE分離条件を設定する必要がある.そこで,泳動緩衝溶液のpH,緩衝成分の種類,濃度,イオン強度,泳動緩衝液モディファイアーの添加の有無に加え,キャピラリーへの試料注入法,試料注入量,泳動時の印可電圧といったCE分離の全てのパラメーターを見直し,ホモおよびヘテロなメチル化に最適なCE分離条件を探索した.その結果,ヘテロなメチル化検出のためのCE分離条件として,8 M 尿素を含む 20 mMリン酸緩衝溶液(pH 3.0)が分離に適していることが分かった.さらに,この条件で,メチル化率を0ー100%の間で変えた模擬メチル化DNA混合物のCE分離を試みたところ,40分以内にそれぞれ独立した5つのピークとして分離することができた.また,メチル化率を変えたDNAメチル化標準混合試料の電気泳動図を作成し,これをメチル化検出,メチル化率定量のための“スケール”すなわち,メチル化Ladderとして用いることにより,ヘテロなメチル化検出に加え,メチル化率の定量が可能であることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度計画した検討項目のうち,CE分離システムの分離能の向上および迅速化についての検討は研究計画通りに進捗しているが,PCR産物の直接導入の検討については,その前段階の通常のPCRにおいて遅れが見られている.
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に示した諸項目についてそれぞれ検討を行い,研究を推進する.PCR産物の直接導入の検討については,PCRによる増幅を確認するためにPCR産物中のDNA量を定量する必要があるため,新たに微量光学セルを購入してその対策にあてる.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の研究課題のうち,PCR産物の直接導入の検討を遂行する課程で,PCR産物中のDNA量を定量する必要が生じたため,29年度の後半で研究経費の使用計画を変更し,当初購入予定のない微量光学セルを購入することにしたが,納期の関係により,29年度内に納入が難しいため30年度の購入となった.30年度の他の使用計画については変更を予定していないので,29-30年度を合わせれば当初の計画取りの使用額となる予定である.
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