研究課題/領域番号 |
17K05898
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
柴田 綾 岐阜大学, 工学部, 助教 (50462693)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 遺伝子検出 / 芳香族求核置換反応 |
研究実績の概要 |
生細胞内でのRNAイメージングの報告はこれまでのところごく少数に限られ、確立した方法がないのが現状である。そのため、実用的なプローブの開発が望まれている。生細胞内の遺伝子検出法として標的核酸を鋳型とした化学反応プローブがある。この遺伝子検出法の利点は標的核酸を鋳型とした反応サイクルを回すことで、シグナルを増幅することができる点にある。しかし現在の所、生細胞内で検出できるRNAはβアクチン等の細胞内で発現量の多い遺伝子に限られており、さらなる検出感度の向上が求められている。加えて、これらのプローブの多くは蛍光基質の構造変化をシグナル発生の鍵としているため、使用できる蛍光波長に制限がある。 本研究では、生細胞内での遺伝子検出が実用可能なプローブの構築を目指し、芳香族求核置換反応を利用した検出プローブの高いシグナル増幅能を維持したまま、クリック反応を利用したポスト修飾により、プローブの簡便な多色化を試みた。現時点では、転移部位修飾DNAとアジド修飾蛍光分子とのクリック反応の適切な条件を見出すことができていない。そのため先に転移部位と蛍光分子とのクリック反応を行い、検出用の転移プローブを得ている。これまでに、消光剤であるメチルオレンジを連結した転移部位を組み込んだ転移プローブが標的DNA存在下で芳香族求核置換反応により分子移動することを確認した。また、求核部位に適切な保護基を導入することで、テンプレート反応がチオール類の有無でコントロールできることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
転移プローブが溶液中のグルタチオンと反応し、非特異的なシグナルを発生してしまうことが明らかとなった。そのため、転移部位の分子設計を行い、新規に化学合成しているため。
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今後の研究の推進方策 |
転移部位に相当する分子の化学合成をすすめ、グルタチオンとの反応性について検討する。また、DNA鎖に組込んだ際にテンプレート反応が進行するかも合わせて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験計画が遅れ気味であったため、今年度の消耗品の購入が少なかったのが原因。 当初の計画から大幅な変更はないが、次年度は消耗品の購入割合を増やす予定。
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