研究実績の概要 |
多種類の分離モードが混在するHPLC固定相の分離特性解析 いわゆるMixed mode型固定相は、疎水性相互作用、親水性相互作用、イオン交換相互作用などの分離機構が混在した状態で働く。これらの分離特性解析はまだ発展途上にある。今回、テュービンゲン大学のLae;mmerhofer教授との共同研究で、疎水性の項目、親水性の項目、イオン交換の項目を独立に測定し、三次元で表記する方法を提案するに至った。この方法は、逆相とアニオン交換のMixed mode型固定相や、カチオン交換と親水性相互作用クロマトグラフィーのMixed mode型固定相などに関して、それぞれの固定相の差異を表現でき、それぞれの固定相(カラム)の分離特性の違いを理解する手段として有用である。
シリカの表面修飾に用いる重合反応の最適化と分離性能の関係の精査 シリカ粒子をポリアクリルアミドで機能化した分離媒体は、親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)分離媒体として様々なものが市販されている。ポリ(アクリルアミド)結合型シリカ粒子充填剤を、表面開始原子移動ラジカル重合(SI-ATRP)によって調製し、HILICカラムを作製した。カラムの分離特性は、既存のHILICカラムテスト法によって評価した。ATRP による修飾のポリマー密度と鎖長の影響を調査するため、異なる空孔径を持つ多孔性シリカ粒子(10, 15, 20, 30 nm)をそれぞれ修飾した。OH基に対する選択性α(OH)で評価したところ、空孔径10 nmの粒子より15, 20 nmの粒子を用いたものが大きいα(OH)を与えることが示された。保持の大きさと選択性の面から、20 nmの粒子が最も良いと考えられる。この結果はHILIC固定相の有するOH基に対する選択性が、有機修飾部分の化学種のみならず、ポリマーの形態や含有率によっても改善されうることを示す。
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