研究実績の概要 |
テロメラーゼはおよそ80%のがんで発現が認められていることから、有用なマーカーとして期待されている。申請者はこれまでにテロメラーゼを迅速に測定可能な電気化学システム, ECTA法を開発した。これまでに、口腔がん、口腔前がん病変に関係する臨床検体で、ECTA法が有用であることを確認しているが、肺がん、尿路上皮がんに適用したところ、感度が不十分であることがわかった。そこで、本提案では、さらなる感度上昇を求めて、ECTA法に適用可能な新規な指示薬として、4本鎖に特異的に結合するペリレンジド、アクリジンを骨格とした指示薬を開発した。どちらも化合物の安定性が乏しかった。 そこで、フェロセン化ナフタレンジイミドのさらなる性能向上を目指し、フェロセニルアラニンを修飾したNDI-D-FcAlaを設計した。これは、アラニンのアミノ基、カルボキシ基がG4と相互作用することを期待した。 研究実施計画として以下のとおりである。NDI-D-FcAlaと1本鎖、4本鎖DNAとの相互作用解析を行ったところ、ITC測定では、4本鎖DNAに対して、高い結合定数を示した。高い結合定数を示すことが明らかとなり、円偏光二色性(CD)スペクトル測定によって、ヒトテロメア4本鎖DNAに対して、ハイブリッド構造を維持したまま、結合していることが明らかになった。ITC測定より、テロメア4本鎖DNAに対してNDI-D-FcAlaは1:2で結合していることが明らかになった。また、HeLa細胞抽出液を用いて、ECTAを検討したところ、30 HeLa cells/uLを作用させた時、24%の電流増加が見られ、これが検出下限であった。
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