研究実績の概要 |
ナノサンプラーを用いてPM0.1(0.1μm以下の大気粉塵)を石英繊維フィルター上にサンプリングし、化学成分を分析した。その結果、1/3は炭素(有機炭素と無機炭素)で、1/3は主成分元素(O, Si, Al, Feなど)と微量元素(Pb, Cd, As, Se, Sbなど)、残りの1/3は硫酸アンモニウム塩(NH4, SO4)であることが明らかとなった。 ナノサンプラーを用いてPM0.1(0.1μm以下の大気粉塵)をコロジオン膜上にサンプリングし、透過型電子顕微鏡 (STEM)で、ナノ粒子を観測した。その結果、2種類のナノ粒子が多数観測された。一つは、球形のナノ粒子が数珠状に連なったディーゼル排ガス粒子であり、もう一つは、球形をした硫酸アンモニウムの液滴であった。 大気中での硫酸アンモニウムの生成メカニズムは、二酸化硫黄(SO2)ガスとアンモニア(NH3)ガスとが反応し、二次発生源である硫酸アンモニウム塩が生成し、その硫酸アンモニウ塩は吸湿性なので、大気中の水分を吸収し、硫酸アンモニウムの液滴となる。 PM0.1の発生源について、2021年12月アメリカのホノルル(Honolulu)で開催された環太平洋国際会議 (Pacifichem 2021)で"Elucidation of sources of airborne particulate matter PM0.1 in the atmosphere"ど題する口答発表をする予定でいたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、発表を辞退した。ハワイへの航空券はキャンセルしたが、ハワイの滞在費は支払わらずに済んだので、海外渡航費が未使用となり次年度使用額が生じた。
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