研究実績の概要 |
大気粉塵の粒径分布は、重量濃度で表すと、4 μmにピークを持つ粗大粒子と0.6 μmにピークを持つ微小粒子の二山存在する。一方、数濃度で表すと、ナノ粒子(0.1 μm以下の超微小粒子、PM0.1)が圧倒的に多い。我々は、日常、数濃度の高いナノ粒子を吸い込んでいる。 ナノサンプラーを用いてPM0.1(0.1μm以下の大気粉塵)を石英繊維フィルター上にサンプリングし、化学成分を分析した。その結果、1/3は炭素(有機炭素と無機炭素)で、1/3は主成分元素(O, Si, Al, Feなど)と微量元素(Pb, Cd, As, Se, Sbなど)、残りの1/3は硫酸アンモニウム塩(NH4, SO4)であることが明らかとなった。 ナノサンプラーを用いてPM0.1(0.1μm以下の大気粉塵)をコロジオン膜上にサンプリングし、透過型電子顕微鏡 (STEM)で、ナノ粒子を観測した。その結果、2種類のナノ粒子が多数観測された。一つは、球形のナノ粒子が数珠状に連なったディーゼル排ガス粒子であり、もう一つは、球形をした硫酸アンモニウムの液滴であった。 大気中での硫酸アンモニウムの生成メカニズムは、二酸化硫黄(SO2)ガスとアンモニア(NH3)ガスとが反応し、二次発生源である硫酸アンモニウム塩が生成し、その硫酸アンモニウ塩は吸湿性なので、大気中の水分を吸収し、硫酸アンモニウムの液滴となる。 2022年1月アメリカのツーソン(Tucson)で開催された2022 Winter Conference on Plasma Spectrochemistry国際会議で、"From ICP Emission to Mass Spectrometry and Isotope Ratio Measurements"と題するon-line発表を行った。
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