感染者無しでヒト感染性ウイルスを3時間で検出する技術の開発を目指している。ヒト培養細胞にウイルス試料を加え,ラマン分光分析法で感染細胞に現れる変化を検出する技術である。DNAウイルスに加えRNAウイルス(レンチウイルス)を感染3時間で検出できることを確認した。スペクトル分析は核酸の組成変化を示していた。実験に用いる遺伝子組換えウイルスは,ウイルス起源のタンパク質の遺伝子を持たない。細胞へ取り込まれることが知られるウイルス外殻タンパク質のみを細胞に加えた場合,ラマンスペクトルの変化が観測されなかった。従って,ウイルスの核酸複製は感染初期から生じ,ラマン分析によって検出できることが示された。
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