研究課題/領域番号 |
17K05915
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
千葉 光一 関西学院大学, 理工学部, 教授 (20281066)
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研究分担者 |
岩井 貴弘 関西学院大学, 理工学部, 助教 (90756694)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 水素燃料ガス / 品質管理 / プラズマ / 分光分析 / イオウ / ハロゲン |
研究実績の概要 |
本研究では、Heプラズマを励起源として、水素ガス中SおよびXを迅速かつ高感度に分析する「水素ガス中イオウおよびハロゲン元素の迅速分析用高感度Heプラズマ分光システム」の開発を行っている。本システムでは、申請者らのグループが開発した小型高出力マイクロホローカソード放電(MHCD)プラズマを励起源として用い、水素ガス中イオウ化合物を液体窒素で捕集・分離濃縮して、再ガス化後にプラズマに導入して発光分光分析を行う。昨年度開発した真鍮製スパイラル型捕集システムに関して、2本の捕集管を連結してH2Sの捕集効率を検討したところ、概ね2 macro-Lまでは定量的に捕集できることを確認した。本システムの開発には十分な捕集量であることが明らかになった。また、H2Sを精度よく安定に捕集するためには、水素燃料ガスを比較的低流量(0.03 L/min程度)で流すことが有効である。一方、捕集したH2Sを再ガス化する際には、大量の熱湯などのように熱容量の大きな媒体で一気に昇温させることが、精度的にも感度的にも効果的である。 マイクロプラズマの励起条件としては、10 mL/min程度のHeガス流速でプラズマを維持し、試料を導入することが最適である。これは、励起エネルギーの高いSを発光させるためには、プラズマ中での対象元素の滞留時間が影響してるためと思われる。今後、プラズマのパワーおよび励起エネルギーとの関係を検討する必要がある。 また、パルスプラズマ信号の取り込み速度が検出感度に及ぼす影響についても検討したが、暗電流が小さい本MHCDでは現状の積算取り込み時間100 msで十分なS/N比が確保できていることがわかった。 本システムを用いると、現時点で、約 3 Lの水素ガスを試料とすることで、ISOで規定された水素燃料ガス中0.004 ppmのイオウを検出することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水素燃料ガス中のイオウ化合物を分離濃縮するシステムを開発し、最適な捕集条件や捕集効率を明らかにした。水素ガスからのイオウ化合物の分離濃縮は、プラズマ分光分析を利用する分析システムでは不可欠な技術であり、その可能性を明らかにできた。また、マイクロプラズマの励起条件としては、最適なHeガス流速を明らかにし、今後の検討ポイントを明確にした。
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今後の研究の推進方策 |
・低流量に対応したマスフローコントローラーと電磁バルブから成るガス制御システムを試作し、検出感度の向上を図る。 ・Heマイクロプラズマの電極材料を検討して、より高感度の検出と電極の長寿命化を図る。 ・本システムによるMoやZrなどの金属を含有するガスの分析への適用を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度に購入を計画していた六方ルブの購入を取り止め、より研究を推進させるために、低流量用フローメータ-を2019年度に購入することとしたため。
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