令和元年度は蛍光光度の高い 5-MeO-2-aminothiophenol (AT) プローブの反応部位となる新規ヌクレオシド誘導体のDNA合成の検討を行い、通常の脱保護条件ではアミノ基の保護基であるフェノキシアセチル基の脱保護が困難であることが明らかとなった。そこで、新たに保護基をトリフルオロアセチル基へと変更したホスホロアミダイトユニットの合成を行った。合成は昨年度に確立したスキームを用いることで、ほぼ同様の収率での合成が可能であった。得られたホスホロアミダイトユニットを用いて、3'末端に5-MeO-2-aminothiophenol (AT) 部位を導入したDNAの合成を行なったところ、トリフルオロアセチル基がアセチル基に変換される副反応が生じることが明らかとなった。種々条件を検討した結果、無水酢酸でのキャップ化を行わない条件で、収率よく目的のDNAを合成することができた。続いて、チオール基の保護基であるジスルフィドの還元による脱保護を試みた。DTT及びTCEPを用いて種々条件を検討したところ、37°C、1hの処理後にC18簡易カートリッジカラムにて生成することで、比較的効率よく脱保護できることを明らかにした。また、ホルミルウリジンを含むDNAは常法に従い、過ヨウ素酸処理することで得た。得られたDNAを相補的なRNAと様々な条件で混合し、HPLCによる反応進行を確認したが、反応の進行は確認できなかった。これは合成したDNAの長さが短いため、RNAとの二本鎖の熱的安定性が低いためであると考察した。
|