研究実績の概要 |
2017年度から継続してCYTcについてとしての機能を検討した。CYTcは遊離のシトクロムcでありG3DHのsubunitI,II複合体と外部電子受容体との間に働くメディエータである。そこで電子をもらう相手である、デヒドロゲナーゼに対する特異性を評価する目的で、FADを補酵素とするAspergillus flavus由来グルコース脱水素酵素(AflGDH)とCYTcを混合し、基質添加後の吸収スペクトルを計測した。グルコースを添加するとヘムの還元に相当する551nmのピークが時間とともに増加したことから、CYTcはAflGDHから電子を受け取ることが明らかになった。しかしVmaxは10mU/mg程度であり、CYTc~G3DHsubunitI,II複合体間のVmax40U/mgと比較すると1/4000であった。GDHの立体構造およびAflGDHが鉄イオウクラスタを持たないための酸化還元電位の違いによるものと考えられる。 触媒サブユニットであるSubunit Iとシャペロン様タンパク質といわれるSubunitIIの相互作用部位について検討する予定だったが立体構造既知のホモログがないことから部位の特定は困難だった。そこでSubunit I,II間相互作用の互換性について検討した。Halomonas sp. α15 (α)、Rhizobium radiobacter (R) 由来G3DHのそれぞれのsubunit I,IIを入れ替えたところ活性はRhizobium(I)-Rhizomium(II) > Halomonas(I)-Halomonas (II)>>Rhizobium(I) -Halomonas (II) であり、Halomonas(I)- Rhizomium(II) は活性を示さなかった。これらのことから、subunit I, IIは互換性があると考えられた。
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