研究課題/領域番号 |
17K05936
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
堀内 正隆 北海道医療大学, 薬学部, 講師 (90322825)
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研究分担者 |
永田 崇 京都大学, エネルギー理工学研究所, 准教授 (10415250)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | タンパク質工学 / アフィニティークロマトグラフィー / 固定化酵素 / プロテインライゲーション / カードラン |
研究実績の概要 |
平成29年度は,Sortase Aによるプロテインライゲーションに用いる際に必要な末端配列 (C末: LPETG, N末: GGGまたはAAA) を有するグルコキナーゼ (GLK),グルコース-6-リン酸脱水素酵素 (ZWF) およびアゾレダクターゼ (AZR) の大腸菌における発現系を作製した.これらの酵素を用いて,プロテインライゲーションを試みたところ,GLKとZWFのプロテインライゲーションに成功し,2種類の酵素活性を有するマルチドメインタンパク質を生産することができた.次にStreptococcus pyogenesのSortase Aを大腸菌において生産し,これを用いて,GLK-ZWFのC末端側へ3種類目の酵素をプロテインライゲーションすることを試みた.しかしながら,3ドメインからなるマルチドメインタンパク質はまだ得られていない.また,安価な大型カードランシートの作製を行った.まず,20 cm x 20 cm のカードランシートを乾燥し,これらを40 cm x 40 cm のポリエチレンテレフタラートフィルムにシリコン系の接着剤を用いて接着することで,大型カードランシートとした.この大型カードランシートは,これまでの小型シートと同様に,GRP-tag融合タンパク質を高純度で固定化することができた.さらに,次年度に予定していたNADPH再生反応およびアゾ色素分解反応のNMRによる観察を前倒しで実施した.その結果,本方法を用いると,各酵素の基質であるグルコース,ATP,NADPHおよびメチルレッドのアサインメントおよびこれらの時系列での分解過程を原子レベルで追跡することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の計画目標であるマルチドメイン化酵素の活性確認および大型カードランシートの作製に成功し,さらに次年度計画の一部であるNMRによるアゾ化合物の分解過程の解析を実施することができたため.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度以降は,3ドメインからなるマルチドメイン化酵素を作製し,NMRにより基質分解過程を観察する.また,構成ドメインの順序が異なるマルチドメイン化酵素を複数種作製し,分解速度との相関について調べる.さらに構成ドメインとして,好冷菌に由来する酵素を用い,温度による活性の違いについて測定する.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度には,蛍光倒立顕微鏡一式を購入予定であったが,年度当初に数ヶ月ほど研究室の改装工事が実施され,蛍光倒立顕微鏡を用いるための設備の準備が不十分となり,次年度に購入時期を繰り越した,したがって,次年度前半中に,平成29年度の備品費を使用する.また,学会等への出張旅費について,平成29年度は日程調整がつかず参加を見送ったため,研究成果の発表時期を次年度以降に変更して旅費を使用する.
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