研究課題
2020年度は、昨年度作製したGRP-GLK-(G4S)3-ZWF-(G4S)3-AZR-Hisハイブリッド酵素の性質をより詳細に検討するため、まずはその生産条件を検討しなおした。これまで、0.1 mM IPTG存在下でハイブリッド酵素発現を行なっていたが、さらにIPTG濃度を低下させることで収量の増加を図った。ハイブリッド酵素の純度を向上させるため、これまでの金属キレートアフィニティークロマトグラフィーのみの精製に加えて、ゲルろ過を行なったところ、このハイブリッド酵素は二量体以上の不規則な大きさの多量体として存在していることがわかった。GLK、ZWF、AZRのそれぞれの酵素ドメインを個別に生産し、その多量化能を調べたところ、ZWFに多量化が見られたことから、ハイブリッド酵素を多量化させている原因はZWFドメインであると考えられた。そこで、すでに報告されているZWFの結晶構造を参考に、多量化の際に酵素間の相互作用に関わっていることが報告されているZWFの326番目のトリプトファン残基をアラニンに置換したGRP-GLK-(G4S)3-ZWF-W326A-(G4S)3-AZR-Hisハイブリッド酵素を生産した。ZWF-W326A型ハイブリッド酵素をゲルろ過したところ、不規則な多量体のパターンが消失し、シングルピークで対称性の高い均質な多量体とすることができた。多量体の正確な分子量はゲルろ過では判定できないが、標準タンパク質との溶出位置の比較から、四量体程度に収束しているものと考えている。この変異導入によるピークの収束により、ハイブリッド酵素の収量を向上させることができた。
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Scientific Reports
巻: 11 ページ: 2976-2976
10.1038/s41598-021-82350-w
http://www3.hoku-iryo-u.ac.jp/courses/1/032/index.html