研究課題/領域番号 |
17K05937
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
藤田 恭子 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (90447508)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 尿酸排泄 / 腸管 / 電極作成 / 高感度検出 |
研究実績の概要 |
高感度に尿酸を検出可能な電極を作成するため、混合自己集積膜の組成について検討を行った。ヒドロキシル基末端とフェロセン末端を有するアルカンチオールの混合比が3:1の場合に0.1μg/mLの尿酸変化を感度良く検出可能であることを確認した。この混合比で作成した混合自己集積膜を有する電極表面を用いて、ラットに腸管ループを作成して腸管内における尿酸排泄動態について測定を行った。3電極を一体化した微小電極を用いて、腸管ループ内に固定化した状態でアンペロメトリー測定を行った結果、経時的に排泄される尿酸を検出することができた。さらに、事前にラットへ尿酸降下薬を投与した場合、腸管内における尿酸排泄の低下が観測された。観測された尿酸排泄の低下は投与する尿酸降下薬によって異なった。また、培養細胞に尿酸トランスポーターのDNAをリポフェクションにより導入し、細胞表面に腸管に存在する尿酸排泄型トランスポーターを発現させた。発現したトランスポーターによる尿酸排泄動態についても、電気化学的に検出を行った。尿酸降下薬の存在下での尿酸動態への影響について測定を行った。経時的な尿酸排泄動態について測定した結果、尿酸降下薬の存在下では、尿酸排泄動態の低下が確認された。 尿毒症物質であるインドキシル硫酸を検出するための電極の探索を行った。金電極上にアミノ基末端とカルボキシル基末端を有するアルカンチオールの混合自己集積化膜を形成することで、1μg/mLの濃度変化を検出可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目も計画通りに研究を推進することができた。さらに、一部の実験では計画を超えた知見も得られた。 金電極上にフェロセンチオールと異なる官能基を有するアルカンチオールからなる混合自己集積単分子膜を作成することで、ラットの腸管内でも高感度に尿酸排泄を検出可能な電極を作成した。0.1μg/mLの濃度変化を検出可能であることを確認し、ラット腸管内における尿酸濃度変化をリアルタイムに測定した。尿酸降下薬を事前にラットに投与することで、腸管内での尿酸排泄動態が変化することも観測できた。 また、尿毒症物質であるインドキシル硫酸を検出可能な電極の構築を行った。アンモニウム基末端とヒドロキシル基末端のアルカンチオールを混合させた自己集積化単分子膜を用いることで1μg/mLの濃度変化を検出可能であることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
尿酸動態について電気化学的に測定をしたラットの腸管について、発現している尿酸トランスポーターの同定を行う。また、血漿中、尿中における尿酸濃度を測定し、比較を行うことで腸管排泄効率を検討する。 腸管ループの作成部位や、雌ラットを用いた検討を行い、これらの腸管排泄動態への影響についても検討を進める。 尿毒症物質の腸管排泄についても、ラットを用いてin vivoでも検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度使用分は、ほぼ研究計画通りに購入し、研究を進めたが、購入を検討していた統計解析ソフトの選択に時間を要したたため、今年度の購入にいたらなかった。生じている次年度使用額は、当該統計解析ソフトを速やかに購入する予定である。その他の翌年度分は当初の予定通り、使用計画に基づき使用する予定である。
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