尿酸の腸管への尿酸排泄を検出するための新規電極表面の検討を行った。これまで尿酸と電子授受が可能なフェロセンアルカンチオールを用いて金電極上に自己組織化単分子膜を形成していたが、尿酸とアスコルビン酸による応答を分離することができなかった。そこで、尿酸とアスコルビン酸を分離検出し、さらに尿毒症物質であるインドキシル硫酸を検出可能な電極の作成を試みた。電極上に構築する自己集積化単分子膜の検討を行い、2メルカプトベンズイミダゾールを用いることで、尿酸、アスコルビン酸、インドキシル硫酸をそれぞれ異なる電位で検出可能であることを確認した。 培養細胞に遺伝子組み換えを行うことで細胞表面に尿酸排泄トランスポーターを発現させ、新規に作成した電極を用いて尿酸およびインドキシル硫酸の排泄動態を解析するための検討を行った。応答を高感度に検出するための自己集積化膜の最適化を行った後、経細胞輸送モデル系を用いて検討を行った。Basal側に尿酸あるいはインドキシル硫酸を添加し、Apical側に作成した電極を固定化して測定を行った。その結果、細胞に発現したトランスポーターの輸送動態について尿酸だけでなく、インドキシル硫酸についてもリアルタイムで追跡可能であることを確認した。 ラットに腸管ループを作成し、新規作成した電極を腸管内に固定化して尿酸排泄動態の測定を行った。事前にラットへの尿酸降下薬投与を行ったり、慢性腎臓病モデルラットを用いて、尿酸腸管排泄への影響について検討を行った。新規に作成した電極でもフェロセンアルカンチオールを用いた電極と同等の感度で、同様の結果が得られることを確認した。
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