研究実績の概要 |
カーバメートの酸化によりN-カルバモイルイミンを入手する際、酸化剤自身の大量入手の必要性や酸化反応後の処理が煩雑で大量合成には不向きであったことから、簡便な酸化法の必要性を感じ、分子状酸素(以下、酸素と省略)による酸化反応を取り入れて触媒化できれば、効率的で環境調和的な合成手法を開発できると研究に着手した。 課題の核となる酸素酸化を取り入れた触媒反応を構築するために、基質として窒素原子にカルバモイル基を導入した 1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンと高い求核性の1,3,5-トリメトキシンベンゼンのカップリング反応(モデル実験に選定)において良好な活性を示す触媒系を発見し、温和な条件下で酸化的カップリング反応が進行することを初年度に実証した。本年度までは、基質適用性の拡張を考慮して、カルバモイル化したジヒドロアクリジン類、キサンテン類、ジヒドロフェナントリジン類、ジベンゾα―ピラン類を検討した。ジヒドロアクリジンやキサンテンは高収率が反応が進行した。予想される反応点に2つのベンゼン環が隣接して酸化されやすい構造であるが、ヘテロ原子が反応点と隣接せず、芳香環の共鳴効果を通じて影響が及ぼされた。ジヒドロフェナントリジン類は、フェナントリジンへの酸化反応が競合することが分かり、クロマンでは全く反応が進行しないが、ジベンゾα―ピラン類では目的生成物を得ることができた。カップリングパートナーとしては、アルコキシベンゼン類が最適であり、求核性を考慮した置換基の位置(1,3-置換や1,3,5-置換)に、置換基数が多いほど効率よく反応が進行した。フェノール類やアセトキシベンゼン類は、この反応では使用できないことも明らかにした。研究期間内に測定することができなかった基質・生成物の酸化電位について速やかに測定を行い、最終的な発表に繋げていく。
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