研究実績の概要 |
イオン液体は、高い熱安定性や導電性などの特性を有し、不揮発性や不燃性の性質から環境負荷の低い溶媒として近年注目されている。また、従来の単鎖型両親媒性物質を2分子繋いだ構造のジェミニ型両親媒性物質は、対応する単鎖型と比べて高い表面張力低下能や低い臨界ミセル濃度(CMC)などの優れた界面活性を示すことが知られ、環境負荷低減の材料としても期待されている。本研究では、環境調和型の分子集合性イオン液体の開発を目的として、これまでに報告のない四級アンモニウム塩系ジェミニ型イオン液体の分子設計・合成を行い、ジェミニ型イオン液体の諸物性および水溶液中での物理化学的性質を調べ、また、これらのイオン液体を媒体として、オキシエチレン(EO)鎖長に分布のない単一鎖長EO 系非イオン界面活性剤の物性や集合体のナノ構造を検討した。 まず、2 本のアルキル鎖長の異なるジェミニ型イオン液体を、エチレンジアミンのアミノ化化合物(N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン)と2種類の臭化アルキルの四級化、さらに対イオンもイオン交換によりる合成した。次に、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルやN,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミンなどのエチレンアミン誘導体と臭化アルキルの四級化により、ジェミニ型イオン液体を合成した。これらの両親媒性イオン液体は、1H NMR および元素分析などにより構造の確認を行った。 さらに、合成したジェミニ型両親媒性イオン液体の性質ならびに水溶液中での物性を、DSCによる融点、電導度、粘度、静的および動的表面張力、界面粘弾性の測定により調べ、気/液界面での吸着・配向性について検討した。また、ジェミニ型両親媒性イオン液体の単独および水溶液中での集合体ナノ構造を、動的光散乱、蛍光、低温透過型電子顕微鏡、X 線小角散乱などにより検討した。
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