これまでの研究で、ヨウ化亜鉛、塩化ニオブ、tブチルテトラメチルグアニジンからなる触媒系が、二酸化炭素とエポキシドからの環状カーボネート合成において、常温・常圧下でも有効に働くことを見出している。本年度は、その再利用ならびに触媒サイクルについて検討した。二酸化炭素とプロピレンオキシドからのプロピレンカーボネートの合成において、本触媒の再利用を検討した結果、2回目は収率が低下するものの、3回目は維持されることが明らかになった。また、触媒サイクルについては、1H-NMR測定より、ヨウ化亜鉛と塩化ニオブが、tブチルテトラメチルグアニジンへ配位していることが確認された。加えて、この錯体は、基質のスチレンオキシドへ配位していることも示された。従って、本触媒は、ヨウ化亜鉛とtブチルテトラメチルグアニジンから形成されたヨウ素アニオンと、ニオブなどのルイス酸が協奏的に働く触媒サイクルが考えられる。
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