研究課題/領域番号 |
17K05960
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
研究代表者 |
小野 大助 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 理事 (30416317)
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研究分担者 |
川野 真太郎 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 主任研究員 (50646198)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アミド基 / 粘性 / 化学分解性 |
研究実績の概要 |
分解性連結部位に1,3-ジオキソラン環を有し、トリス (ヒドロキシメチル) アミノメタンを親水基に持つアミド基を有する酒石酸由来の化学分解性非イオン界面活性剤を合成した。得られた界面活性剤の基本的界面物性、酸性条件下における分解能、生分解試験、洗浄力試験、粘度測定を行った。 曇点を測定したところ、90℃以上を示したことから水溶性の高い界面活性剤であることを確認した。臨界ミセル濃度では、二鎖二親水基型界面活性剤で一鎖型より1桁低い値を示し、ミセル形成能に優れていた。起泡力および泡沫安定性では、通常型と同程度の結果となった。 酸性条件下における分解能は、過去に報告されている親水基の異なる界面活性剤と同様に分解性を示した。しかし、その分解速度は親水基のかさ高さの増加に伴い低下した。生分解試験は、一鎖二親水基型の界面活性剤において約40%の分解能を示し、JIS指標洗剤 (直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム) と比較すると高い分解能を示した。二鎖二親水基型は、一鎖型よりも低い結果となった。 水道水を使用した洗浄力試験の結果、JIS 指標洗剤と比較して同等の洗浄力を示した。硬度100 ppm の硬水中では、本研究の界面活性剤の洗浄力は少し低下したものの、JIS 指標洗剤と比較して約3 倍の洗浄力を示した。 粘度変化の検討において、ほとんどの溶媒中で増粘効果は確認できなかった。しかし、一部の界面活性剤においてトルエン溶媒中で顕著なゲル化が確認された。これは25℃ではゲルの状態を示し、40℃では液体に状態が変化した。これは低分子ゲル化剤の特性を示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アミド基を有する化学分解性非イオン界面活性剤は、基本的界面物性は通常型の界面活性剤よりも優れていたが、粘性変化に関して、一部の溶剤に限られていた。本研究では、増粘効果を有することが目的であるので、改善が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
粘性変化測定の条件を検討する。溶媒中の界面活性剤濃度を高くする。また、溶液を加熱又は冷却し、界面活性剤の溶解状態を変化させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により研究が一部遅延したこと、国際学会の開催中止等に伴い経費を消耗品(試薬購入等)に変更し、研究機関を延長し推進する計画である。
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