研究実績の概要 |
酒石酸ジエチルから、アミド基を有する1,3-ジオキソラン型化学分解性両親媒性化合物(2-(2-アミノエトキシ)エタノール型)を合成し、基本的界面物性、酸分解特性、乳化特性、洗浄力、生分解性を測定した。 本両親媒性化合物の臨界ミセル濃度は、以前のモノエタノール型と同定度であった。表面吸着占有面積は、モノエタノール型より高い値を示した。これは、親水基のかさ高さの違いによるものと推察される。また、一般的なヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(FADA)の約2倍高い値を示した。これは界面活性剤分子の構造の観点から、ジオキソラン環の有無に起因していると考えられる。起泡力特性においては、FADAよりも低起泡性かつ泡切れの良さがみられた。酸分解特性は、1M HCl条件下、モノエタノール型と同様に5日で分解することが分かった。 3種の油(大豆油、シリコーンオイル、流動パラフィン)との乳化特性は、大豆油に関しては、FADAよりも優れており、シリコーンオイルと流動パラフィンにおいては、同等の性能を有していた。また、どの乳化系においても2-(2-アミノエトキシ)エタノール型は、モノエタノール型よりも乳化安定性は高かった。粘度変化の検討において、ほとんどの溶媒中で増粘効果は確認できなかったが、トルエン溶媒中で有意差がみられた。 水道水中での洗浄力試験の結果はJIS指標洗剤と同等の洗浄力を示した。また、硬度100 ppmで試験を行なったところ、JIS指標洗剤は顕著に洗浄力が低下したが、2-(2-アミノエトキシ)エタノール型は水道水での洗浄力結果と同等の結果を示した。 生分解性ではFADAを下回る生分解度を示したものの、洗剤の主要配合成分であるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの生分解度よりも高い値を示した。
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