半導体と金属ナノ粒子とを組み合わせて、光酸化反応と光還元反応とを分離し、CO2光燃料化反応を開拓した。半導体結晶の種類・結晶系・サイズ・露出結晶面、金属ナノ粒子の組成・半導体表面での配置・露出結晶面、光触媒の形状(粉末、薄膜)の因子の制御により、CO2光燃料化の高速化を目指した。また、熱力学的に安定で反応しにくいCO2から光生成物までへの反応経路について考察した。
半導体結晶として層状複水酸化物を用いることでメタノールを、TiO2を用いることでCOおよびメタンを得た。しかし13CO2を用いた光反応試験では、いずれも12Cを中心とする還元生成物が得られた。前者では層間の炭酸アニオンおよび水も光転化し得ること、後者を炭素フリーで合成しても13C生成物が中心とはならなかった。
さらに半導体を探索した結果、ZrO2が安定して13CO2を13COに光転化することが分かった。さらに銀ナノ粒子を5.0重量%加えると活性は3.9倍増大した。ZrO2はCO2を吸着させ、そのうち化学吸着サイトが活性点であることを明らかにしたが、紫外光により電荷分離した電子と結合すると考えられる。一方、銀は可視光を吸収して局在表面プラズモン共鳴を起こし、脱励起時に392 Kまで昇温することが分かった。還元剤として用いたH2がこの昇温Agサイトで活性化され、スピルオーバーして電荷分離したホールとCO2由来のO原子と結合すると推定した。 同様にして、還元剤を水とすることもテストし、H2生成との競合反応となったが、Ag-ZrO2光触媒にMg2+イオンを加えることでH2生成は抑制され、13CO生成選択的にすることが出来た。金をZrO2に加えることもCO2光還元に有効であったが、Auはデバイ温度が高く、紫外可視光照射時に324 Kまでの昇温で光から熱への変換のCO2還元への効果は限定的だった。
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