研究課題/領域番号 |
17K05962
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
宮本 淳一 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任助教 (30450662)
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研究分担者 |
直井 勝彦 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 卓越教授 (70192664)
岩間 悦郎 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90726423)
木須 一彰 東北大学, 材料科学高等研究所, 助教 (80755645)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | キャパシタ / リチウムイオン電池 / ナノ粒子 |
研究実績の概要 |
平成30年度はLi3VO4(LVO)ナノ粒子と多層カーボンナノチューブ(MWCNT)の複合体を新規ハイブリッドキャパシタ用負極材料として絞り、その合成法について検討した。様々な手法を試行したところ、LVOの液相合成後に遊星ボールミルを用いてメカノケミカル的に微粒子化すると、結晶構造が徐々に変化することを見出した。 さらに本手法について検討を進めたところ、比較的強い破砕力の回転数で36時間ほどボールミリングすると、その結晶構造が前年度に報告した電気化学活性化によるLVOと同等になることを見出した。このメカノケミカル手法によって得られたLVOをMWCNTと複合化し、電気化学特性を確認したところ、前年度に報告した電気化学的に活性化したLVO/MWCNTと同じ挙動であることを確認した。この結果を踏まえてX線回折(XRD)並びにX線吸収超微細構造解析(XAFS)により結晶構造を確認したところ、Liイオン拡散に有利な構造へ変化していることを見出した。さらに組み合わせる炭素材料について検討したところ、MWCNTより安価な導電性カーボンブラックを用いてもキャパシタ用途に十分な電気化学特性を示すことを見出した。さらにカーボンブラックとともに合成後のLVOを遊星ボールミリングすることによりカーボン含有量を減少できることがわかり、得られたLVO/Carbon black複合体はLVO/MWCNT複合体よりもレート特性が向上していることがわかった。 以上の結果より、メカノケミカル手法で作製したLVO/Carbon black複合体はキャパシタ用途として十分な性能を有することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記研究実績概要の通り、LVO/nano Carbon複合体の合成法について新規手法を見出し、電気化学特性の向上を確認した。このことは電池電極材料によってはメカノケミカル手法により結晶構造を変えることができ、その結果として電気化学特性を変更できる可能性を示唆しており、電池材料以外への応用も期待できる重要な知見と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
LVO/MWCNT複合体について、結晶構造的にLiイオン拡散性の向上に対してメカノケミカル的手法が有効であることを解明した。また、本手法は電気化学活性化処理よりもセル毎のばらつき、すなわちLiイオンの拡散経路を平均的にするものであることを見出した。今後はメカのケミカル手法で作成したLVO/MWCNT複合体の電気化学特性、特に充放電サイクル特性についてさらに試験を進めるとともに、正極材料としてすでに候補としているLi3V2(PO3)3/MWCNT複合体と組み合わせてフルセルを作成し、その電気化学挙動がキャパシタとして有効であることを検証し、実用化に向けた指針を得ることが目的となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月初旬に修理しようとした器具(電極打ち抜き機)の修理が助成金執行期限内に終了しないことがわかったため、翌年度へ繰り越しが必要となった。
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