研究実績の概要 |
ポリシロキサン主鎖の側鎖型液晶エラストマーとポリエステル系主鎖型液晶エラストマーについて、応力印加架橋による配向試料を作成した。本申請で購入の示差走査熱量計を用いて相転移挙動を観測した。デジタルロックインアンプを用いた電場誘起光軸変化測定システムを構築した。 (1)側鎖型液晶エラストマー:コレステロール誘導体をメソゲンとする側鎖型液晶エラストマーを合成し、キラルスメクチックA(SmA*)相を有することを確認した。同試料について電場誘起変形の予備実験を行い、SmA*相の温度範囲全体で電傾効果によるせん断変形が観測された。等方相に相当する温度領域において、電場方向に極性のある曲り変形が観測された。電場誘起による光軸変化を測定するためのシステムを構築し現在試運転中である。 (2) 主鎖型液晶エラストマー:ビベンゾエート(BB)を骨格部とする主鎖型液晶ポリエステルBB-n(nは骨格部間のアルキル鎖の炭素数)を用いた。Dimethyl 4,4’- biphenyldicarboxylate (Bibenzoate: BB)モル比1に対し、1,6-hexanediolを0.7、3-methyl-1,5-pentanediolを0.2、架橋剤として3官能性の1,2,6-hexanetriol を用いた。スメクチック相の温度領域でポリマーネットワーク形成をするために反応温度の低温化を目的として、異なる2つのチタン系触媒を用いて主鎖型液晶エラストマーの合成を試みた。Titanium tetraisopropoxideの場合、重合温度230℃、重合時間24時間においてゲル分率が44%であるのに対して、Titanium tetrabutoxideの場合は210℃、24時間の重合により84%のゲル分率を持つ合成物が得られ、より低温においてポリマーネットワークの形成が可能であることが分かった。
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