fdファージはその集合濃度により液晶性を示す。本研究では微生物を液晶状態にし、ここで重合反応を行なった。得られた高分子はその集合構造を転写したことを電子顕微鏡および偏光顕微鏡で確認した。本研究では高分子の転写合成を通して、fdファージ集合体の形成を考察した。fdファージは層状構造をもつスメクチックA相も示し、ここで酸化重合を行った。これにより、ポリピロールとfdファージの合成高分子/微生物コンポジットを作成した。さらにファージより大きなサイズの巨視的な微生物である菌類の懸濁液を電解液とし、ここで高分子の電解合成を行った。得られた高分子はサイズの大きな菌類を取り込んでいた。得られたポリピロールの表面は電気的に活性な凹凸構造をもっていた。土中より得られた乳酸菌を反応場にしてポリジオキシチオフェンの電解合成を行った。 また植物系の天然光学活性高分子誘導体であるヒドロキシプロピルセルロース中で導電性高分子の電解合成を行い、光学活性であるとともに光回折能をもつコンポジットフィルムを作成した。 植物のらせん道管を抽出し、この存在下でアゾポリマーを化学合成した。得られたコンポジットはらせんの形状に沿って高分子がデポジットしていた。 次に、真菌によって産出される天然化合物のサイクロスポリン (Cyclosporine A) をキラルインデューサーとして用い、コレステリックを調製し、ここで電解重合を行い光学活性高分子を得た。さらにコレステリック液晶中で安定ラジカルをもつ高分子を合成し、電気-光学-磁気活性高分子を合成した。
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