セルロースナノウィスカーの水懸濁液を湿式紡糸することで100%セルロースナノウィスカーのみからなる繊維を紡糸した。凝固浴溶媒、電解質の種類と濃度、紡糸原液濃度を変えて紡糸を検討した。X線回折は繊維内部のナノウィスカーの配向を示した。繊維の弾性率はウィスカーの配向度に依存するが強度は依存しないことがわかった。紡糸した繊維を一度水洗し再び風乾すると弾性率と強度が増加した。元素分析から、凝固浴内の電解質(Ca2+)がナノウィスカーの表面荷電基をイオン架橋している可能性が示された。ナノウィスカー間を架橋するとやや破断強度が低下するものの破断時伸びが増加する繊維を調製できた。
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