研究実績の概要 |
本年度は、目的とする高分子電解質の原料となるモノマーの合成を行った。本研究では、種々の分子量および分岐度を有する多分岐ポリカーボネートを得るために環状モノマーである5-Methyl-5-(hydroxymethyl)-1,3-dioxolan-2-onの合成法を詳細に検討した。 既報(K. D. Weilandt et al. Macromol. Chem. Phys. 197,3851-3868 (1996))に従って、ジメチルカーボネートとトリメチロールエタン、塩基性触媒としてナトリウムメトキシドを用いた。触媒量、温度、反応条件を詳細に検討したが、目的とする5-Methyl-5-(hydroxymethyl)-1,3-dioxolan-2-onは、5%程度でごく少量しか得られなかった。 次にジエチルカーボネートとトリメチロールエタン、固体酸性触媒としてAmberlighを用いたところ22%の収率で目的とする5-(hydroxymethyl)-1,3-dioxolan-2-onを得た。 得られた5-(hydroxymethyl)-1,3-dioxolan-2-onを用いて、無溶媒あるいは、種々の溶媒中で重合反応を行った。得られたジエチルエーテル不溶成分は、1H-NMR測定により主鎖にカーボネート基を、末端に水酸基を有する数平均分子量が1,000に満たないオリゴマーであった。化学構造の詳細な評価により、分岐度を見積もることは可能で有ることが明らかとなった。今後は分子量の向上を試みるために重合方法をさらに検討し、分子量が3,000程度以上となる重合条件を評価、見当する予定である。
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