研究課題/領域番号 |
17K06001
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
門川 淳一 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (30241722)
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研究分担者 |
山元 和哉 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (40347084)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 多糖 / アミロース / 超分子 / 階層構造 / 酵素触媒重合 |
研究実績の概要 |
本研究では、応募者らが開拓してきたホスホリラーゼ酵素触媒重合場において高分子包接錯体を形成する手法(つる巻き重合)を利用して、らせん状アミロースアナログ多糖から階層構造的に超分子が高次に集積した材料を創製することを目的とする。まず、2-デオキシモノマーを前年度に見出した重合条件に適用し、新規なアミロースアナログ多糖である2-デオキシアミロースの合成を達成した。具体的には、1,2-ジデオキシグルコースであるD-グルカールを基質に用いたホスリラゼ酵素反応を行うと、系中で2-デオキシモノマーを生成することができ、これが真の基質となり重合が進行して2-デオキシアミロースが得られた。また、生成物の粉末X線回折測定から、天然のアミロースとは異なる結晶構造を有していることが分かった。現在、詳細な結晶構造を解析中である。さらに、D-グルカールと天然基質とのホスホリラーゼ酵素触媒共重合も行い、同様な条件で新規アミロースアナログ多糖が得られることが分かった。生成物の粉末X線回折測定から、非晶性を示すことが分かり、フィルム形成が可能であった。 一方、アミロースアナログ多糖からの階層構造超分子材料の構築の前段階として、ホスホリラーゼ酵素触媒重合による天然のアミロースからの階層構造超分子合成手法を確立した。すなわち、重合のプライマーであるマルトオリゴ糖をカルボキシメチルセルロースやポリグルタミン酸にグラフトさせた後、天然基質を用いた酵素触媒重合を行うことで生成するアミロース鎖が二重らせんを形成し、階層構造的に超分子ネットワークが得られる手法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ホスホリラーゼ酵素触媒重合による新規アミロースアナログ多糖(2-デオキシアミロース)の効率的合成条件を確立し、天然のアミロースとは異なる結晶構造を有していることを見出した。また、ホスホリラーゼ酵素触媒重合による天然のアミロースからの階層構造超分子合成手法を確立した。以上のことから本研究は当初の計画以上に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
種々のゲスト高分子存在下、ホスホリラーゼ酵素触媒重合を行い、前年度および今年度で合成が達成されたアミロースアナログ多糖(アミロサミン、2-デオキシアミロース)からのつる巻き重合の適用の可能性を検証し、アミロースとの錯体形成能の違いを明らかにする。さらにプライマーをグラフトした高次ビルディングブロックを用いたつる巻き重合系へと発展させ、最終目的であるアミロースアナログ多糖からの包接錯体形成を基盤とする階層構造超分子材料創製を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度から今年度前半で研究が大きく進展し、主な必要物品も購入した。そのため、今年度後半では、物品の購入が予定より少なくなった。次年度使用額と翌年度請求分を合わせて、目的の研究を達成し成果発表を行うための物品費、旅費に使用する予定である。
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