研究課題/領域番号 |
17K06002
|
研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
田中 学 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (00531831)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | ナノファイバー / エレクトロスピニング / 高分子電解質 / イオン伝導 / リチウムイオン / 電池 / 相界面 / 電極 |
研究実績の概要 |
研究代表者らのこれまでの研究により、各種イオン伝導性を有する高分子ナノファイバーが非常に優れたイオン輸送特性を有することが明らかになっている。本研究では、イオン伝導性ナノファイバー集合体(ナノファイバーフレームワーク:NfF)の形状・特徴に着目し、電池等の飛躍的な高性能化に繋がる高機能相界面をNfF上に構築することを目的とする。具体的には、正極・電解質・負極など別個の部材の組み合わせにより構成されている既存の全固体型二次電池の課題を解決すべく、相界面の精密な制御を行いながら電極機能をイオン伝導性NfFに直接付与した全く新しい多機能一体型電池を作製する。電池構造に革新をもたらし、全固体型二次電池の実現・高性能化を達成するとともに、高分子ナノファイバーならではの特長を活かした展開も図る。 本年度は主に、ナノファイバー(NfF)表面への機能性官能基導入の検証と、表面修飾ナノファイバーを用いた複合膜の作製および電解質評価を行った。NfF表面の性状を制御することで、ナノファイバーとマトリクス電解質の界面にイオン輸送に有利な相界面が構築できることが見出され、リチウムイオン伝導性やリチウムイオン輸率の向上が達成された。また、新規イオン伝導性高分子として、リチウムシングルイオン伝導性高分子を設計、合成し、そのナノファイバー化を行った。さらに、多機能一体型電池の作製を目指し、まず電解質-正極一体型構造の構築に向けた要素技術の検討にも着手した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の通り、本年度は主に高性能相界面の構築に向けたナノファイバー(NfF)への新たな機能の付与に向けた検討を行い、おおむね順調に進展している。 NfF表面に機能性官能基を導入することでイオン伝導性など各種特性向上が達成され、期待通りの結果が得られた。また、新規イオン伝導性高分子の合成とナノファイバー化や、多機能一体型電池作製に向けた予備検討にも着手し、それぞれ成果を得ている。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は研究計画通り進展しているため、今後も以下3点を柱に研究を推進する。 1) 多機能一体型電池の作製、2) 二次電池評価とナノスケールにおける相界面現象の検証、3) 高機能相界面の構築と設計自由度の高さを活かした新しい電池構造の提唱
|